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「お前さ、何のために生きてるの?」

朝、М村君が事務所に入って来た途端、

松井は何気なく聞いた。

「生きるために生きているのでございます 」

暗い声でこたえるМ村。

「じゃー、治療じゃなくて、コンビニで働けば?」

固まるМ村。

「だってそうじゃん。お前、治療家向いてないし、

生きるためだったら他にも仕事あるぜ」

「そうですね・・・・」

消え入りそうなほど小さな声でつぶやくМ村。

「お前さ、なんで治療家やっているの?」

首をかしげるМ村。

「なんで治療家やっているのって聞いてるの!」

正座しようとするМ村。

「いやいやいや、いらないからそういうの。あと、俺怒ってないし。

マジで素で聞きたいけど、治療家、なんでやってんの?」

またしても固まるМ村君。

「君さ、理学療法士の学校、

3年生の時の卒業試験でコミュニケーションに問題があって落ちたんだよね?

学費、いくら払ってもらったの?」

「300万弱です・・・・」

「じゃーさ、今通っている柔道整復師の学費、卒業までにいくら?」

「400万円ぐらいです・・・」

「あと、お前さ、仕送りいくらもらってんの?」

「毎月7万円ぐらいです・・・・」

「何年もらってる?」

「かれこれ6年近く・・・・」

「仕送りと学費、合計で約1200万円だよね?」

「はい・・・・」

「で、いつ、どの時期に、どんな方法で親御さんに返すの?」

「・・・・・・」

「俺はね、開業してから鍼灸学校の学費を親に返したよ。

でもね、母親は受け取らなかったの。

だから毎月1回は母に会ってご馳走したり、

お正月は多額のお年玉を母にあげて恩を返しているの。

そんな息子を母は自慢にも思ってくれているし、

そんな気持ちがあるから開業がうまくいったかもしれない。」

「・・・・・・・・」

「別にさ、誰にでも愛情を捧げる必要はないけど、せめて田舎の親御さんに感謝してる?

何年も何年もお前のことを信じて学費と仕送り送っている親御さんのこと考えたことある?

息子が治療家になりたい、学校に行きたいっていうから1000万円以上お金つかってんだろ?

しかもお前の実家、そんなに裕福じゃないんだろ?

それだけ親御さんに苦労かけてまでなりたい治療家、どうしてなりたいの?

俺さ、変なこと聞いている?」

「いえ、至極まっとうでございます・・・・・」

「いいか、М村。

おまえのことクズって言っているのには根拠がある。

まず、お前は人の気持ちに気づいていない。

親御さんのこともそうだし、常に自分しか頭にない。

次にお前、不細工な男がいい女連れていたら

「こいつ死ね!」って思うだろ?」

「はい」

「じゃーさ、俺にお前にこと教えて。

どうして24歳で童貞なの?

どうして女性とお茶もしたことないの?

どうして治療家になったの?

”どうしてでしょうね”とかいらないから、論理的に明確に説明して」

「・・・・・・・・・」

「だろ?

言えないでしょ?

お前さ、てめぇのことすらもわからないのに、どうして他人のことがわかる?

その不細工な男はスゴイ努力家かもしれないぞ。

人はみかけによらないぜ。

お前はさ、猫の額ぐらいしか度量も見解も狭いくせに、

てめぇの物差しで人をはかって、そのくせ何の努力もしようとしない、

それでいて世を儚んで、

悲劇の女王様気取りの、

覇気も勢いもない、

しみったれたジジイみたいな24歳なんだぜ。

いいか、М村。

お前には何の価値もない。

価値っていうのは結果だよ。

結果出してないやつは価値がないんだ。

可愛い24歳の女の子はそれだけで結果出しているけど、

キモくて臭くて金もなくて学歴も資格も頭の中身も体力もない24歳童貞で性格も悪いお前はクズまっしぐらだ。

いいか。

これは本当のことだぞ。

でさ、お前さ、

生きるだけのために生きるんだったら治療家やめろよ。

正直言って治療家の素質まったくないし。

いいか、М村よ・・・・・」

白熱した松井がシカのように大人しくなったМ村を諭した。

まず、治療家の資質を話し、

そして開業の心得、どのようにして生き抜いていくかなどを・・・・・

”М村に話した松井のお話集より抜粋”

まず、治療院をやっていくのに、大事なことが3つあるぞ。

1つ目は、技術。

ま、当たり前だな。

2つ目は、人を集めることだ。

当たり前だけどよ、

当たり前が出来ないやつが多すぎる。

お店を開いて待ってるだけでは、

自動的に客はやってこねーよ。

友達・親戚へのサービスだけでは、

すぐにじり貧になっちまう。

そこでよ、「広告」をしたり、

「紹介」をお願いしたり、

マーケティングという活動が必要になってくるわな。

そんでよ、一番大事なのが、人。

治療院経営の根っこにあるのは、

人間関係ビジネスさね。

接客が苦手だから、

技術職のこの仕事についたという話が多いし、

お前もそう。

いいか、治療院経営は接客ビジネスだぞ!

おめーは絶望的に接客ができてないの。

あと、おもてなしも最悪。

最高のおもてなしをするホテルマンにボーイさんでも客の体触らないだろ?

医者だってほとんどの場合、患者の体なんか触らない。

でもよ、治療家は初めて会った人の体に触れるぜ。

それもよ、一番悩んでることを聞いて解決する立場なんだよ。

そこに人と人の「信頼」というものがかかわってくる。

初めてきた人が、2回目、3回目と通ってるくれるのは、「信頼」ができた証拠。

人は、ちょっとでもイヤなものに金は払わない。

100円でも払わないぜ。

でもよ、俺っちみたいに一回1万円以上も払ってくれるのは、

俺を信じて、「人」を信頼してくれてるからだぞ。

まぁ、これをブランドとも言うかもしれないし、

ブランドとは、略すと「信頼」という意味かもな。

いいか、М村よ。

お前はこれから死ぬ気で努力して、

「いい技術」を身につけてブランドにならないといかん。

そのためには、患者に対する態度、

笑顔、声だし、身だしなみ、レベルの高い技術、

話をよく聞くこと、

おもしろい話を提供してくれること、

いつも思ってくれて手紙をくれたりすること、

目つき顔つきすべてがブランド。

お前さ、手紙一つ書けないじゃん。

だから俺、思い付きで秘書検定受けろって言ってないのよ。

全部、治療院経営には必要だから指示してるの。

М村よ。

今一度「人」を見てみなさい。

患者さんと接するとき、

患者さんは、心を持っているぞ。

その心の風景を見ながら施術しているか?

なーんにも考えずにてめぇはやっているだろう・・・・・

「技術」と「マーケティング」だけじゃないよ。

人と人。

患者さんも人、広告に反応するのも人、信頼して通ってくれるのも、人だ。

М村よ。

お前は、

”人に向かって生きていない”

いいか。

これから治療家として生きるならば、

愛を真ん中におき、

人に向かって生きろ!

と、話して終わった午前中でした!

追伸

弟子1号と2号から

「松井先輩(先生)は本当に愛がありますね・・・・」

とやたら言われる今日この頃。

私には愛はありません。

ただ、クズを放置できないだけであります!

以上!
忍押!(すお!)